整備の見積りで「この作業は何点か」と話すときの点数が、作業点数(標準作業点数)です。出どころは一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(日整連)が発行する「自動車整備標準作業点数表」で、作業を始めてから終わるまでの標準的な手間を数字にしたものです。この記事では、日整連が公開している「点数表の見方」の説明に沿って、点数の決まり方と読み方を整理します。最後に、日本カーネットが運営するデータ検索システムCarise(カリス)で作業点数を調べる手順も紹介します。

作業点数とは:自動車整備標準作業点数表の数字

作業点数とは、日整連の「自動車整備標準作業点数表」に載っている、作業1件ごとの標準的な点数のことです。整備工場では「工数」と呼ぶことも多く、見積りを作るときに作業ごとの手間をそろえる物差しとして使われています。

日整連は点数表の見方の中で、標準作業点数を「原則として作業を開始してからすべての作業が完了するまでの点数」と説明しています。部品を外して付け直すまでの途中に出てくる付帯作業も、その点数の中に含まれます。つまり、作業名の横にある点数は、その作業を最初から最後まで通して行ったときの目安です。

ただし、点数がそのまま実際の作業時間を表すとは限りません。一般整備の点数は、標準作業時間に換算係数を掛けて出しています。時間と点数が同じになるのは定期点検だけです。この違いは次の節で詳しく説明します。

作業点数を一言でいうと

日整連の自動車整備標準作業点数表に載っている、作業の開始から完了までの標準的な点数です。標準作業時間に換算係数を掛けて算定され、定期点検だけは作業時間と点数を同じにしています。前提は実務経験3年程度の三級整備士が1人で行う作業で、6分を0.1時間として数えます。整備工場では見積りの工数の目安として使われ、2022年版までは書籍、2023年版以降はFAINESなどで閲覧する形になっています。

自動車整備標準作業点数表の発行元と収録範囲

自動車整備標準作業点数表は、日整連が毎年まとめている刊行物です。2025年版の案内では、2024年1月から12月までの1年間に新規発売またはフルモデルチェンジされた乗用車、貨物車、バス、二輪車について、定期点検と一般整備の標準作業点数をメーカー別、装置ごとに載せていると説明されています。

年版ごとに収録されるのは、その前年に新しく出た車やフルモデルチェンジした車です。古い車の点数を調べるときは、その車が発売された年やフルモデルチェンジの年に合わせて、どの年版に載っているかを当たる必要があります。

提供の形も変わっています。日整連は2022年版の案内で、書籍としての販売はこの年版が最後になると告知しました。2023年版以降はFAINES(日整連の整備情報提供システム)などで閲覧する形になり、CD-R版の刊行物も案内されています。

項目日整連の公開情報で確認できる内容
発行元一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(日整連)
収録対象前年1年間に新規発売、フルモデルチェンジされた乗用車、貨物車、バス、二輪車
収録内容定期点検と一般整備の標準作業点数(メーカー別、装置ごと)
提供の形書籍は2022年版で終了。2023年版以降はFAINESなどで閲覧。CD-R版の刊行物もあり
点数の範囲作業の開始から完了まで。途中の付帯作業も含む

作業点数の算定方法:標準作業時間×換算係数

点数の出し方は、FAINESの「点数表の見方」に書かれています。まず標準作業時間を決め、そこに換算係数を掛けたものが標準作業点数です。式にすると「標準作業時間×換算係数=標準作業点数」になります。

標準作業時間の前提条件

標準作業時間は、実務経験3年程度の三級整備士が1人で行うことを標準にしています。2人以上で行う作業は、その延べ作業時間で数えます。使う道具は、認証基準で定められた機械工具と、インパクトレンチなどの一般的な機器です。特殊な設備がそろった工場や、経験の長いベテランが作業する場合を想定した数字にはなっていません。

時間の刻みは6分を0.1時間とし、0.1時間未満は四捨五入しています。点数表に小数点以下1桁の数字が並ぶのはこのためです。

定期点検だけは時間と点数が同じ

日整連は、定期点検の作業には難易度の高いものから低いものまでさまざまな作業が含まれているとして、定期点検に限って作業時間と作業点数を同じにしています。定期点検の点数は時間としてそのまま読めますが、一般整備の点数を時間に読み替えるときは換算係数が掛かっていることを前提にしてください。

区分点数の決まり方時間との関係
定期点検作業時間と作業点数を同じにしている点数=時間として読める
一般整備標準作業時間×換算係数換算係数が掛かるため、点数と時間は一致しない

「1点=1時間」と言い切れるのは定期点検だけです。一般整備の点数を作業時間の見込みに使う場合は、換算係数を経た数字であることを踏まえて、自社の実績と照らし合わせてください。

関連する作業が重なるときの扱い

2つ以上の作業を同時に行う場合、それぞれの点数を単純に足すと、共通する分解や組付けを二重に数えてしまいます。点数表の見方では、関連する作業の重複部分は差し引くことになっています。たとえば同じ部品を外す必要がある作業を2つ受けたときは、重なる工程の分を見積りから外す、という考え方です。

作業点数表の見方と読むときの注意点

点数表はメーカー別、装置ごとに整理されています。調べるときは、まずメーカーと車種、型式を特定し、次にブレーキやエンジンといった装置の区分から作業名を探す流れになります。車種や型式が違えば点数も変わるため、車検証の型式と合っているかを最初に確認します。

読むときに気をつけたいのは、点数がどんな条件の作業を表しているかです。前提は三級整備士1人と一般的な機器なので、錆びて固着したボルトや、後付け部品が付いている車など、標準から外れる状態の手間は含まれていません。日整連の数字はあくまで標準の目安で、実際の現場では車両の状態に合わせた判断が要ります。

  • 車種と型式が車検証の記載と合っているかを先に確認する
  • 作業名が、実際に行う範囲(交換か点検か、片側か両側か)と一致しているかを見る
  • 同時に行う作業がある場合は、重複する工程を差し引く
  • 一般整備の点数は時間そのものと読まない

作業点数と事故修理の「指数」の違い

整備の作業点数とよく混同されるのが、事故車の修理で使われる「指数」です。指数は株式会社自研センターが作っているもので、同社は「事故車修理における標準的な修理作業時間を示したもの」と説明しています。英語では「JKC Repair Times」と呼ばれています。

指数は基表方式で作られ、種類は脱着・取替、補修塗装、運転支援システム再設定・調整、外板板金修正、内板骨格修正の5つです。自研センター自身も、実際の修理作業時間は車両の状態や使用工具などによって異なると注記しています。

項目作業点数(標準作業点数)指数
作成している団体日整連株式会社自研センター
対象定期点検と一般整備事故車の修理
中身作業の開始から完了までの標準作業点数標準的な修理作業時間
使われる場面整備の見積り事故車の修理見積り

整備工場と鈑金工場の両方を営んでいる会社では、同じ「何点」という言い方でも、整備の点数と事故修理の指数のどちらを指しているかで意味が変わります。社内で見積りを回すときは、どちらの体系の数字かを書き添えておくと行き違いが減ります。

作業点数を見積りに使うときの考え方

作業点数は見積りの工数をそろえる目安として広く使われていますが、点数から工賃をどう計算するかについて、日整連の点数表の見方には計算式が書かれていません。工賃の計算方法は、各工場が自社の料金体系として決めて、お客様に説明するものです。

見積りの現場では、同じ作業でも担当者によって工数の見立てが違うと、お客様への説明がぶれてしまいます。点数表の数字を社内の共通の目安にしておくと、担当者が変わっても同じ基準で工数を出せます。そのうえで、固着や追加作業など標準から外れる部分は、別の項目として理由を書いて上乗せすると、お客様にも説明しやすくなります。

部品代とあわせて見積りを作る場合は、型式指定番号と類別区分番号から純正部品の価格を確認しておくと、作業と部品の両方を同じ車両情報で組み立てられます。部品側の調べ方は純正部品価格の調べ方で解説しています。

見積りの項目目安にする情報確認するときの注意
作業の手間標準作業点数一般整備は換算係数が掛かった数字
同時作業点数表の見方の重複控除共通する工程は差し引く
部品純正部品価格型式指定番号、類別区分番号で車両を特定
標準外の作業自社の判断理由を書いて別項目にする

Cariseで作業点数を調べる方法

Carise(カリス)は、日本カーネット株式会社が運営する自動車業界向けのデータ検索WEBシステムです。作業点数検索では、作業を開始してから完了するまでの点数を示す「標準作業点数表」を、車両情報や作業区分から検索できます。見積り作成時の工数算出や、整備メニューの標準時間の確認に使えます。

検索の流れ

  1. メーカーと車種、型式など車両情報を選ぶ
  2. 作業区分を選んで、目的の作業を絞り込む
  3. 表示された標準作業点数を、見積りの工数の目安として確認する

トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、ダイハツ、マツダ、スバル、三菱など、国産乗用車を幅広く網羅しています。メーカー別の調べ方はトヨタなどメーカー・車種ごとの作業点数の調べ方で詳しく紹介しています。

上級者向けの機能として、必要なデータをリアルタイムで取得してエクセルなどで使う方法もあります。仕様書(作業点数検索 仕様書)では、メーカーを指定してモデルの一覧を取り、そのコードで作業点数を取得する手順が説明されています。

料金と利用条件

項目内容
作業点数検索の料金10,000円/年(税別)
契約できる事業者整備業、鈑金業、車販店、ガソリンスタンドなど自動車関連事業を営んでいる企業様のみ
お試し最大2か月間
利用制限1アカウントでの同時ログイン不可。複数のグローバルIPからのアクセス不可

検索で得たデータは、自社の見積りや整備の確認に使う前提のサービスです。利用規約では、サービスで得た情報を商業的に利用する行為が禁止されています。データを第三者へ売ったり、公開や配布をしたりする使い方はできません。

お申込みの手順とお支払いについてはお申込みの流れをご確認ください。導入前のご質問はお問い合わせから受け付けています。車両の諸元をあわせて確認したい場合は自動車の諸元データの調べ方も参考にしてください。

よくある質問

作業点数と作業時間は同じですか。
定期点検は作業時間と点数を同じにしていますが、一般整備は標準作業時間に換算係数を掛けて点数を出しています。一般整備の点数は時間と同じとは読めません。
作業点数表は誰が作っていますか。
一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(日整連)が「自動車整備標準作業点数表」として発行しています。書籍版は2022年版で終わり、2023年版以降はFAINESなどで閲覧する形です。
点数の前提になっている整備士の条件は何ですか。
実務経験3年程度の三級整備士が1人で行う作業を標準にしています。2人以上で行う作業は延べ作業時間で数えます。
事故修理の指数と作業点数は同じものですか。
別の体系です。作業点数は日整連の定期点検と一般整備の数字で、指数は自研センターが作る事故車修理の標準的な修理作業時間です。
Cariseの作業点数検索はいくらですか。
10,000円/年(税別)です。整備業、鈑金業、車販店、ガソリンスタンドなど自動車関連事業を営んでいる企業様のみご契約いただけます。最大2か月間のお試しもあります。

出典・参考資料

記載内容は2026年10月6日時点で公表資料を確認したものです。

Carise で作業点数・純正部品価格・諸元を調べる

Carise は、整備業・鈑金業・車販店・ガソリンスタンドなど自動車関連事業者向けのデータ検索システムです。作業点数検索、純正部品価格検索、諸元検索を、型式指定番号・類別区分番号やメーカー・車名から使えます。

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